この頃は朗読CDをよく聴いている。近代文学が多い。現代文学の朗読CDもあればいいのにと思うけれど、どういうわけかないので、いわゆる名作と言われる、学校の国語の時間に習ったような、そのくせ読んだことはない作品を図書館で借りてきては聴いている。
『愛と死』という、どこかで見覚えのあるタイトルに目を引かれ手に取ると、それは武者小路実篤であった。ヘルマン・ヘッセに『知と愛』という小説があるのは知っていたが、これは知らなかった。聴いてみると、なるほど、愛と死、その通りの小説だった。ヒロインが魅力的。昔も今も、魅力的な女の子というのはそんなに変わらないのかもしれない。
私小説のさきがけと言われる田山花袋の『蒲団』も読んだことがなかったので、聴いてみた。これは笑っていいのか、笑ってはいけないのか、おっさんである自分の身勝手さをこっけいなほど克明に描いている。きっと笑っていいんだろう。じゃなかったらわざわざそこまで書かないだろう。
この朗読は橋爪功なのだけど、その語りの上手さにも感心してしまう。テレビドラマなどを見ていても役者さんの演技の巧い下手というのはよくわかりづらいけれど、こういった朗読を聞くと、演技の上手さがすごくよくわかるような気がする。
たとえば長い朗読では、途中で休憩を挟みながら収録すると思うのだけど、下手な人だと、そうしたのが露骨にわかるほど、その区切れを境に声のトーンが変わっていたりする。上手な人は、それがまったくわからない。それとももしかしたら、上手な人というのは、休憩などを入れずに、水も飲まずにCD3枚分ぐらい、いっきに朗読できてしまうのかもしれないけれど。
今聴いている、夏目漱石の『道草』、その加藤、加藤なんだっけ?あの石坂浩二の金田一耕助シリーズの警部役の人、「わかった!_と大声で言ってはいつもハズす人。あ、加藤武か。等々力警部。なんとも上手で魅力的な語り口。しかも個性的。素敵だなあ。
朗読CDを買うことは少ないけれど、そういえば前に「これは!」と思って買ったものがあった。『ボブ・ディラン自伝』の朗読CD。日本語ではなくもちろん原作の。読んでいるのはショーン・ペンだもの、聞き取れずとも聴きたくなる。全部聴くと6時間。これも睡眠音楽に最適です。
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